お産を和らげる呼吸法
痛みをやわらげ、スムーズなお産をサポートしてくれる呼吸法。その良さを確認し、代表的なラマーズ法、ソフロロジーの呼吸法について学んでみましょう。出産に向けて、自分に合った呼吸法をマスターしてみませんか。
- 呼吸法はなぜ必要? どんな効果があるの?
- 陣痛は痛いもの、恐いものという先入観があると、緊張して体が固くなり、分娩にも時間がかかってしまいます。また、呼吸が早くなり、過呼吸に陥ってパニック状態になることもあります。大切なのはリラックス。お産の時に、進行に合わせた呼吸法を取り入れることで、緊張がやわらぎます。産道が柔らかくなって赤ちゃんが自然に下りてこられるし、新鮮な酸素を送ってあげることもできるのです。
また、呼吸法を練習したという気持ちの余裕は、本番での痛みの軽減にもつながります。完全にマスターしていなくても大丈夫。本番では、助産師や看護師がそばについて補助してくれます。お産が始まったら、自然に出てくる、一番楽な呼吸法をすればいいのです。
【代表的な呼吸法はこの2つ!】
- ラマーズ法の呼吸法
- ラマーズ法は、「事前にお産のしくみをよく理解しておけば不安や緊張がやわらぐ」という精神予防性無痛分娩の考えに基づいています。すべての呼吸法は「吸う」からスタートして「吐く」で終了します。激しい呼吸は過呼吸になってしまうので、できるだけ、静かに長く吐くようにしましょう。
- 1.陣痛開始
- 「陣痛かな?」という程度の時は、ゆっくり鼻から吸って、口から吐く深い呼吸を。陣痛が規則的になり、深い呼吸では収縮の強さに乗りにくくなったら、少し浅い呼吸に変えます。吸うのに1秒、吐くのに1秒、軽く口を開け、アウトと言うつもりで息を吐きます。
- 2.子宮口が開く
- だんだん子宮口が開いて、収縮の波が強くなってきたら、ヒー・フー型に。息を吸ってヒーと吐き、短く吸ってまたフーと吐きます。フーのほうが少し長めです。
- 3.陣痛が強まる
- 収縮がかなり強くなり、ヒー・フーではつらくなってきたら、今度は、ヒッ・ヒッ・フーと、少しあえぐような感じの短息呼吸になります。ヒッ・ヒッと短く息を吐き、最後のフーは少し長めに。いきみたくなっても、子宮口が全開大になるまではガマン。大きな収縮の波がきた時は、フー・フーと息を長く吐いていきみを逃します。
- 4.いきみの指示が出る
- 最もポイントとなる呼吸法フー・ウンです。陣痛が強くなればなるほど、フーと深く息を吐きます。ウンは、1.いきみを逃すために、鼻から息を抜くようにウンと吐く、2.瞬間的に肛門のほうにウンといきむ、の2種類を使い分けます。
- 5.赤ちゃんの頭が出てくる
- 赤ちゃんの頭が出てきたら、全身の力を抜ききるようなつもりで、フー・フーと深くゆっくり息を吐きます。いきまずに、上手に力を抜けば、赤ちゃんを締め付けないで済みます。
- ソフロロジーの呼吸法
- ソフロロジーは、「もうすぐ赤ちゃんに会えることを思い描いて、陣痛を積極的に受け止めよう」という考え方に基づき、東洋的な座禅とヨガの様式が取り入れられています。陣痛の波が押し寄せてきたら、生まれてくる赤ちゃんの顔を思い浮かべながら、ヨガの複式呼吸の要領で、できるだけ長く息を吐くのがポイント。体がリラックスして、産道がゆるみ、強くいきまなくても自然に赤ちゃんが生まれます。
- 1.陣痛が始まる
- 経産婦では子宮口が7~8cm開大くらい、初産婦なら5~6cm開大くらいまでは、陣痛の痛みはあまり感じません。陣痛が始まってから子宮口全開大までは、あぐらをかいた姿勢や、自分のいちばん楽な姿勢で過ごしましょう。陣痛の波が来たら、フーッと長くゆっくり息を吐き続け、波が去ったら、力を抜いてリラックスします。
- 2.痛みが強くなってくる
- 子宮口が全開大になり、痛みが強くなってきたら、子宮の収縮に合わせて、息を吐きながら少しいきみを加えます。この時、息を止めないこと。陣痛が去ったら、意識を眠りにおちる間際のソフロリミナルな状態に落として、全身をリラックス。子宮の内圧が下がり、赤ちゃんに十分酸素が届きます。
- 3.赤ちゃんの頭が見えてくる
- 赤ちゃんの頭の先が絶えず見える発露の状態になったら、いきみや腹圧をかけるのをやめます。介助してくれる助産師と目を合わせながら、早くなりがちな呼吸のリズムを整えて、ただゆっくり、フーフーと息を吐くことだけに専念。赤ちゃんはゆるくなった産道をゆっくり下りてきます。会陰もよく伸びているので、多くの場合、切開の必要はありません。